建物探訪 「日本平夢テラス」
標高300mの丘陵地の山頂に建つ360度の展望・回廊施設で、三保の松原や駿河湾の海岸線から富士山に伸びて行く景観を楽しめる観光施設となっています。
法隆寺の夢殿をヒントに八角形の平面構成となっています。
県産材のヒノキで表現された小屋組みが軒を大きく突き出し、鳥が大きく羽ばたいているようにも見え、シンボリックなデザインとなっています。
回廊床の受材も複雑に組まれた木組で構成され、ガラススクリーンの手摺が軽やかに回廊も建物と調和を図っています。
展望回廊は電波塔をぐるっと囲むように、1周200mのパノラマ回廊となっていて、それぞれの場所で景色を楽しみながら回れます。
この場所から左端に、今まで雲にかかっていた富士山が顔を出してくれ、見ることができました。
内部は1階が日本平の歴史・文化の展示エリアとなっていて、中央の吹き抜かれた木階段から上の階へと導かれます。
2階に上がると景色を楽しみながらくつろげるラウンジスペース、又その上の3階は展望スペースとなっていて、小屋裏の木組がダイナミックに目に飛び込んできます。
設計:㈱隈研吾建築都市設計事務所
建物探訪 「東海館」
昭和3年に材木商稲葉安太郎氏により伊東温泉旅館として創業された建物で、平成13年に伊東市に寄付され文化施設となり一般公開されています。(伊東市指定有形文化財)
伊東大川沿いに建つレトロな和風木造3階建ての建物で、客層が湯治客から団体客に変化するにしたがって増築されてきています。望楼も昭和24年に増築されています。
正面玄関の唐破風が優雅で繁栄当時の風格ある姿を表現し、亀と鶴の懸魚彫刻も目を引きます。
中庭を取り囲むように雁行した廊下を配し、各室の入口に小屋根を作り戸建て風の客室となっています。ところどころに様々な飾り窓があり、職人の技とこだわりを見ることができます。
各階を評判の棟梁に分担させ腕を競わせた自慢の建物には、桧や黒檀・紫檀など高級な木材や形の変わった変木を随所に使い、伝統的な和風建築となっています。
客室は床の間など全て違うデザインで、書院の欄間や障子の組子が繊細で、各部署の納まりも含め各職人の技術のレベルの高さに感激しました。
二間続きの120畳もある大広間が3階にあり、毎晩行われていたと思われる宴会の雰囲気を人形が感じさせてくれます。
建物探訪 「静岡県富士山世界遺産センター」
5月の連休に伊豆方面に出かけた折に見学してきた建物を数回に分けて紹介します。
富士山世界遺産センターは浅間大社の南側、神田川の西川沿いに建つ建物で、富士山の自然、文化、歴史など情報の発信地となっています。
逆富士型の展示棟をセンターにし北棟、西棟の3棟に分かれた部分を、ガラスカーテンウォールでつないでいます。
エントランスには水盤を回り込んで入ることになります。
円錐状に広がりを持つ木格子がとても印象的です。ちなみにこの格子は8000ピースあり、すべてが形状が違い3次元でプレカットして組み上げています。
3階まで吹き抜かれたエントランスホールから、螺旋状のスロープにより上部へと展示室に誘導され、富士山の登山道に見立てた映像をを見ながら5階まで登ります。(富士山登山を模擬体験)
2,3階途中にブリッジで西棟、北棟に繋がれた企画展示室などがあり、登山途中の休息場のような所ともなっています。
エントランスホール奥にミュジアムショップ・カフェーコーナーがあります。
3階の常設展示室には、富士山で生息している動植物を見ることができます。
北棟3階の展望常設展示室からは吹抜けのエントランスホールが見渡せ、又、屋外展示で外にも出られるようになっています。
5階まで上がると展望ホールとなっていて、屋外テラスにも出入りが可能で晴れた日には富士山が目の前に見ることができます。
設計:㈱坂茂建築設計
27坪の家 竣工写真
「27坪の家」完成しました。
南側外観
シンプルな片流れ屋根に、黒のガルバリウム鋼板と板張りの外壁が目を引く建物となっている。
南東側外観
北アルプスが眺望できるよう、西南側にはデッキを設置。
ダイニング、キッチン
ワンルームのLDKを中心に、各室へ短い動線でつながる室内構成。
リビング、ダイニング
吹き抜けを設けることで開放的な空間を演出。
吹き抜け
2階廊下から家事の様子が見え、1階とのつながりを持つことで家族のコミュニケーションが図れる。
2階廊下
吹き抜けの空間からつながる板張りの天井により、温もりが感じられる内観となっている。
寝室
各寝室は6畳だが収納を各所に設けているため、室内空間を有効に使える造りとなっている。
設計・監理 小林建築設計事務所
老人ホーム楓(増築) 竣工写真
住宅型有料老人ホーム楓(増築)完成しました。
外観
腰壁を珪藻土塗、上部壁を角スパンサイディング張りとし、既存の建物の色彩に合わせ全体の調和を図っています。
外観 (ポーチ)
既存建物側と増築側の敷地の高低差があり、アプローチ部分で70㎝ほどとなった為、スロープの処理に苦労しました。
玄関
床は御影石の上がり框で土足エリヤと分け、バリアフリーの処理をしています。
ホール
廊下との境に建具を取り付け、冬場の寒い時期には仕切りができるようになっています。
食堂・機能訓練室
西窓側はカウンターを作り、四季折々の景色を楽しみながらくつろげる部屋となりました。
寮室
すべて洗面、トイレ付き個室の部屋となっています。
介護浴室
上部壁・天井を木目調バスパネルにしているので、温かみのある浴室となりました。
便所・汚物処理室
多目的トイレで、車イスでもゆったりと使えるように広くとってあります。間仕切りの奥に汚物流しがあり、汚物を外に出せるようにドアを設けました。
設計・監理 小林建築設計事務所
老人ホーム楓(増築) 現場状況 23
玄関スロープの手すりが設置されました。
木製建具の設置が完了しました。
厨房のシステムキッチンと流しが設置されました。
小林建築設計事務所