地震などの水平荷重が作用するときに、耐力壁の両端の柱の柱頭、柱脚に大きな引き抜き力が発生します。

構造計画の基礎については昨日の記事を参考にして下さい。

kz6.jpg

このような引き抜きを防ぐために金物で補強するのですが、以下の2つの方法のいずれかによって選択します。
(1) 告示(平12建告第1460号)による規定の仕様にて金物を選択する。
(2) N値計算法で計算し、その数値により金物を選択する。

(1)の場合は告示の表を見て金物を選択するだけなので、計算の必要はありません。
(2)は設計した住宅に見合う接合方法を選択できます。

今このN値計算法を勉強中です。
軸組図を書かないとできないので、結構大変な作業になります。
計算式があり、これに数値を当てはめてN値を出します。


・平屋建ての柱、もしくは2階建ての2階部分の柱、および2階建ての1階で上に2階がない部分の柱

N=A①×B①-L

N  : N値(引き抜き力)この数値により金物を選択
A① : 検討する柱の両側の壁倍率の差(筋かいの場合は補正値を含む)
B① : 周辺部材の押さえ効果を表す係数0.5(出隅の場合0.8)
L  : 鉛直荷重による押さえ効果を表す係数0.6(出隅の場合0.4)


・2階建ての1階で上に2階がある部分の柱

N=A①×B①+A②×B②-L

N、A①、B①は上記の平屋建て等の柱の場合と同じ
A② : 検討する柱に連続する上階(2階)柱の両側の壁倍率の差(筋かいの場合は補正値を含む)
B② : 2階の周辺部材の押さえ効果を表す係数0.5(2階が出隅の場合0.8)
L  : 鉛直荷重による押さえ効果を表す係数1.6(出隅の場合1.0)


平屋建ての部分、2階建ての2階部分、2階建てで上に2階がある1階部分で計算式が変わります。
これは2階建ての1階部分の柱の引き抜き力は2階の壁も関係してくるためです。

参考書を見ているだけではよく解らないので、実際に仮の図を書いて計算してみました。

2階建ての建物で、木ずり片面打ち(壁倍率0.5)の壁を主体にし、筋かい(壁倍率2.0)を入れた耐力壁でもたせる構造です。
外部に面する筋かいが入った場所の両柱①②③④を検討しました。

kz7.jpg

まず最初に壁倍率の差Aを算出します。
※耐力壁の壁倍率については建築基準法「令第46条、昭56建告第1100号」を参照

柱①と③は外部に面しているのでそのままの壁倍率の数値2.0を使います。
柱②と④は2.0と0.5の壁に囲まれているので、2.0と0.5の差を求めると1.5になります。

筋かいが柱の上部か下部かどちらに取り付くかによって柱の引き抜き力が違うので、補正値が適用されます。
参考書に載っている表の数値を入れました。

柱①と④は-0.5、柱②と③は0.5です。

出た数値を計算式に当てはめてみます。

① (2.0-0.5)×0.8+(2.0+0.5)×0.8-1.0=2.2
② (1.5+0.5)×0.5+(1.5-0.5)×0.5-1.6=-0.1
③ (2.0+0.5)×0.8-0.4=1.6
④ (1.5-0.5)×0.5-0.6=-0.1

計算で出た数値により、建築基準法「平12建告第1460号表3」から金物を選択します。

①の柱はN値が2.2なので必要耐力15.0kNの(と)に該当する金物になりました。
③の柱はN値が1.6なので必要耐力8.5kNの(ほ)に該当する金物になりました。
②と④の柱はN値が-0.1で0.0以下なので、必要耐力0.0kNの(い)に該当する金物になります。

一見難しく見えるN値計算法ですが、図を書いて数値を入れることによって解りやすくなります。
実際にやってみるとそれほど難しくはないですが、それぞれの軸組図を書いて検討しなくてはならないので、実際の設計図を計算する場合は手間と時間がかかりそうです。


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2009.11.06 Fri l 建築知識 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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