構造計画の基礎
木造住宅は地震力や風圧力などの水平力に対して耐力壁で抵抗します。
耐力壁は大まかに上の2種類に分類されます。
左が斜めに部材を入れる「筋かい」です。
右が全体的に面材を打ち付ける「構造用合板」です。
※建築基準法「令第46条」参照
耐力壁を検討する場合、柱と柱の間隔が狭い場合には注意が必要です。
柱間隔が90cm未満になってしまうヶ所に筋かいなどを入れても、耐力壁とみなせないのです。
耐力壁を設ける場合は90cm以上を確保しましょう。
壁量計算をする場合、地震力と風圧力の両方を検討しなければなりません。
地震力は両方向にゆれるので必要壁量が同じですが、風圧力はX軸方向、Y軸方向の風を受ける面で必要壁量が変わってくるためです。
地震力は階ごとの平面図から床面積に乗ずる値を掛けて必要壁量を求めます。
風圧力は階ごと、方向ごとに立面図から見付面積に乗ずる値を掛けて必要壁量を求めます。
それぞれ求めた地震力と風圧力の値を比べて、どちらか大きい値が必要壁量となります。
※建築基準法「令第46条4項」参照
風圧力に関しては勘違いしやすいので、解りやすいように図を書きました。
風圧力の見付面積は床面より1.35m上の部分の面積になります。
左側からの風圧力を支えるのはY面見付面積のY軸方向の耐力壁ではありません。
Y面が受ける風圧力を支えるのはX軸方向の耐力壁です。
X面の風圧力はY軸方向の耐力壁が支えるという事になります。
勘違いして逆に計算してしまうと数値がだいぶ変わってしまうので注意しましょう。
耐力壁は量だけでなく、配置も重要です。
配置が偏っていると力が加わったときに建物がねじれて耐震性が損なわれます。
南面の日当たりを考えて開口部を大きくとり、南面に壁がない住宅を見かけますが、このような建物は耐震上よくないです。
地震力や風圧力が加わると、建物全体がねじれて耐力壁の少ない部分が大きく変形してしまいます。
これを防ぐために、耐力壁の配置をバランスよく入れることが重要です。
耐震補強をする場合についてもバランスよく補強耐力壁を配置することで地震に強い家になります。
この壁配置のバランスを確認する方法として「四分割法」があります。
※建築基準法「令第46条第4項、平12建告第1352号」参照
X方向の壁のバランスを検討
まず建物の平面を1/4ごとに区切ります。
1/4の範囲の斜線部分に入るX方向の耐力壁のバランスを見ます。
斜線部分の床面積を求め、その床面積に対して必要壁量が足りているか確認します。
北面は水周りなどで壁が多く、逆に南面は開口部を大きくとり壁量が少なくなりがちですので、筋かいの量などで調整してバランスをとります。
同じくY方向の壁のバランスを検討をします。
これは1階、2階それぞれ建物全体の長さの1/4で区切り検討します。
耐力壁を活かすためには、水平構面の剛性や耐力を確保する必要があります。
床面や小屋ばり面に「火打」と呼ばれる部材を設置します。
※建築基準法「令第46条第3項」参照
図は床面を平面的に上からみた図です。
このように斜め45度に入る部材を示します。
地震力や風圧力の水平力が働くと、部分的に建物が変形してしまいます。
これを防ぐと共に、力をバランスよく耐力壁に伝える役目をするのが火打材です。
土台、2階床、小屋にそれぞれ設置します。
設置ヶ所は、建物外周の出隅部分、入り隅部分、土台や梁の交差部分などにバランスよく配置します。
これらを参考に、今住まれている間取りを確認してみて下さい。
北面には壁がたくさんあるのに、南面は全面開口部で壁がない!なんて場所はありませんか?
このような建物は地震が来たときに心配です。
心配な方は耐震精密診断を受けて下さい。
現在町でも耐震精密診断の募集をしていますので、利用してみてはいかがでしょうか。
当事務所でも耐震診断依頼受け付けますので、ご相談下さい。
夢創り工房「小林建築設計事務所」
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