国立西洋美術館
昨年用事で東京に出かけた折に見学した建物を2つ紹介します。
■国立西洋美術館
会館60周年記念「ル・コルビュジェ 絵画から建築へーピュリスムの時代」の展覧会が開催されていたので見て来ました。
この国立西洋美術館本館は20世紀建築の巨匠ル・コルビュジェが設計を手掛けたもので、2016年にユネスコ世界文化遺産の1つとして登録されています。この展覧会はコルビュジェ(本名シャルル=エドゥアール・ジャンヌレ)が故郷を離れパリで「ピュリスム(純粋主義)」の運動を推進した時代に焦点を当て、絵画、建築、都市計画、出版、インテリアデザインなど多方面にわたり活動した時代を振り返る企画展となっていました。
正面玄関側
側面より
コルビュジェ建築の特徴であるピロティの柱の上に四角い箱が載っている建物で、外壁の緑がかった玉石洗い出しPCパネルが印象的です。
エントランスより建物の中心のホールへ誘導されると、三角形のハイサイドの窓から自然光が差し込まれ、吹き抜かれた高い天井に圧倒させられます。1階は主に建築模型の展示で2階にコルビュジェ(ジャンヌレ)と友人たちの美術品約100点が展示されていました。
スロープを歩きながら変わりゆく景色を見て上がってゆくと2階展示室が渦巻き状に配置され、この先に何があるのかワクワクする動線となっています。中から外へと広がる展示方法は将来増設可能なようにと考えられています。
コルビュジェの近代建築の5原則
1、ピロティー
2、屋上庭園
3、自由な平面
4、自由なファサード(立面)
5、水平連続窓
この5原則が居住者の生活を豊かにしています。
※国立西洋美術館には屋上庭園・水平連続窓はありませんが、コルビュジェの代表作サヴォワ邸でよく分かります。
「所長」
東京文化会館
■東京文化会館
国立西洋美術館の横にあるこの建物は、コルビジェの弟子である前川國男設計の代表作です。
1961年に造られた東京での初期の本格的なコンサートホールです。(日本建築学会作品賞を受賞)
公園側から
公園内の景観に配慮され、軒の高さを控えた大庇の水平ラインと切り取られた開口部が印象的です。
東京文化会館楽屋口側から
重厚感のある建物であるが、コンクリート打ち放しの庇や全ての柱型がRに処理されていて、とても柔らかな表情を醸し出しています。
エントランスホール
床のタイルは枯葉をモチーフにした模様で、公園からそのまま引き込まれてくるような一体感を作り上げています。
広々としたホワイエ
内・外壁の石を打ち込んだPC版は国立西洋美術館と同様の素材を用いることによって2つの建物が同化しています。色彩も赤・青・黒と原色の洗練された色が効果的に使われ、内部空間を引き締めています。
2014年に改築・改修工事が行われリニューアルされました。
「所長」
長岡リリックホール
昨年、建物探訪をしてきた中で新潟編を紹介します。
■長岡リーリックホール(伊東豊雄設計)
うねるような屋根がとても印象的な建物で、1996年の建築にしては内部はとても手入れが行き届いており古さは感じさせません。コンサートホールの光の筒とシアターの四角いBOXが屋根を突き抜け、丘を思わせる曲線屋根にインパクトを与えています。
ラウンジのランダムに配置された円柱は林を思わせ、曲線のベンチが多彩な表現を作りあげています。手前右がシアターでコンクリート打ち放しの壁となっています。
ラウンジの光庭が地下(1階)へと光を注いでいます。
波板ガラス(光の筒)で覆われた部分が700席のコンサートホール
正面サブ玄関からスカイウエー(渡り廊下)で新潟県近代美術館などにつながっています。
「所長」
信毎メディアガーデン 講演会・見学会
8日、4月下旬にオープンした信濃毎日新聞松本本社「信毎メディアガーデン」で講演会・見学会があり参加してきました。
1階 ホール (8日の講演会会場)
この日は信毎メディアガーデンを設計した世界的な建築家である伊東豊雄さんが来られ講演を行いました。
「みんなの家」から「みんなの建築」への演題で、約160人が参加されました。
1階 エントランス まちなか情報局
この建物は地下1階地上5階建てで、地下が駐車場、1~3階が共用・ショップエリアで、ホール、カフェ、レストラン、雑貨、アウトドアショップ、キッチン、スタジオなどが入っています。
4~5階は、信濃毎日新聞松本本社とMGプレス編集室が入ったオフィスエリアとなっています。
5階 信濃毎日新聞松本本社
講演会後には伊東さんや設計事務所スタッフの皆さんが施設を案内しながらデザインの特徴などを説明してもらいました。
3階 キッチン
料理実習や食事会が開催できるキッチンは、料理研究家の横山タカ子さんが監修しました。
3階 テラス
テラスからは松本市のメインストリートである本町通りを一望できます。
外観
建物の外観はルーバー状の外壁と木製の窓枠が特徴的です。
この建物は基礎免震構造を採用しており、地下の駐車場で免振構造を間近で見ることができ、耐震構造の説明も聞くことができました。