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設K日記    

建築士の日々の出来事

建物探訪 「富岡倉庫」

2023 - 03/09 [Thu] - 17:05

明治33年に設立された富岡倉庫(株)が建設した倉庫群で、繭などの蚕糸や玄米・石炭などの物資を扱っていた。
レンガ積「1号倉庫」と木造土壁「3号倉庫」は創業当時に、大谷石積み「2号倉庫」は大正12年に建てられている。
右側の乾燥場の年度は不明。
平成28年富岡倉庫(株)が廃業となり、市に寄贈され賑わいを創出する市民の交流拠点として活用される。

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3号倉庫は改修設計も隈研吾建築都市設計事務所が行っている建物で「おかって市場」の店舗として活用されている。
耐震改修は無垢の鉄骨柱と頭上に走る炭素繊維のワイヤーで補強されているが違和感がなく意匠的に納まっている。

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風格のある大谷石積み2号倉庫は改修工事が昨年度終了し、1階が飲食・物販、2階をイベント・ワークショップとして活用している。

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1階の軽食・喫茶コーナーから2階へと軽やかな階段で動線が繫がっている。
耐震改修方法は3号倉庫と同じ手法をとっている。

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1階部分の壁は大谷石積みの壁がそのまま表しとなっているが、2階は繭の貯蔵の為、保護として亜鉛鉄板張となっているのをそのまま残している。

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2号倉庫から1号倉庫にかけてのパーゴラは(耐震補強も兼ねているのか?)2つをつなぐ通路の役割をしているが、現在屋根はかかっていない。

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1号倉庫は世界遺産「富岡製糸場と絹産業遺産群」のガイダンス施設 群馬県立世界遺産センター(セカイト)となっていて、富岡製糸場と絹産業遺産群について解説のパネル・シアターなどで情報を発信している。

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1号倉庫の耐震改修も同じ方法がとられているが、建物のボリュームから柱が若干太めとなっている。


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建物探訪 「富岡市役所」

2023 - 03/08 [Wed] - 17:18

上州富岡駅から富岡製糸場に向かう経路上に位置し、行政棟と議会棟を L字に配置し、その間を通り抜けるストリート型の建築となっている。

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目の前には大きな芝張りの広場とその脇に斬新なあずまやが設けられ、市民の憩いの場でもありイベント等にも有効活用されている。

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二重の勾配屋根は通風・遮光の高窓がとられ、大きく張り出した庇や外装に用いたアルミと木のハイブリットしたルーバーが特徴となっている。

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議会棟と行政棟の間に取られた中庭から、富岡製糸場へと通り抜けの動線が延びて行く。

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議会棟内部エントランスホールの壁はきびそ(蚕が最初に吐き出す太く硬い糸)をクロスにして造られている。他の随所にもこの壁は使われている。

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3階まで吹き抜かれ、心地よい空間構成となっている。

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H24年に公開プロポーザルにより、(株)隈研吾建築都市設計事務所が設計を受注し、H30年に完成した。


建物探訪 「上州富岡駅舎」

2023 - 03/07 [Tue] - 17:04

世界遺産に登録された富岡製糸場の玄関口となる地方私鉄駅で、老朽化に伴い建替えとなり、一般公募型のコンペにより(株)TNA(武井誠+鍋島千恵)が受賞し設計された建物。

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白く90mにも伸びたフラットな大屋根の下にコンコースや待合室・自転車置き場など機能的に配置され、独特な存在感のある建物となっている。

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駅舎正面が駐車場で富岡倉庫裏側となり、そちらにも繫がりを持っている。

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凹凸に積まれた煉瓦はベンチとなっていて、レンガ壁はそれぞれの機能を持つ間仕切り壁や掲示板の役割を果たしている。

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2014年度のグットデザイン賞受賞作品でもある。


建物探訪 「日本平夢テラス」

2022 - 05/20 [Fri] - 15:14

標高300mの丘陵地の山頂に建つ360度の展望・回廊施設で、三保の松原や駿河湾の海岸線から富士山に伸びて行く景観を楽しめる観光施設となっています。

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法隆寺の夢殿をヒントに八角形の平面構成となっています。


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県産材のヒノキで表現された小屋組みが軒を大きく突き出し、鳥が大きく羽ばたいているようにも見え、シンボリックなデザインとなっています。
回廊床の受材も複雑に組まれた木組で構成され、ガラススクリーンの手摺が軽やかに回廊も建物と調和を図っています。


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展望回廊は電波塔をぐるっと囲むように、1周200mのパノラマ回廊となっていて、それぞれの場所で景色を楽しみながら回れます。


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この場所から左端に、今まで雲にかかっていた富士山が顔を出してくれ、見ることができました。


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内部は1階が日本平の歴史・文化の展示エリアとなっていて、中央の吹き抜かれた木階段から上の階へと導かれます。


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2階に上がると景色を楽しみながらくつろげるラウンジスペース、又その上の3階は展望スペースとなっていて、小屋裏の木組がダイナミックに目に飛び込んできます。


設計:㈱隈研吾建築都市設計事務所


建物探訪 「東海館」

2022 - 05/13 [Fri] - 17:02


昭和3年に材木商稲葉安太郎氏により伊東温泉旅館として創業された建物で、平成13年に伊東市に寄付され文化施設となり一般公開されています。(伊東市指定有形文化財)

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伊東大川沿いに建つレトロな和風木造3階建ての建物で、客層が湯治客から団体客に変化するにしたがって増築されてきています。望楼も昭和24年に増築されています。


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正面玄関の唐破風が優雅で繁栄当時の風格ある姿を表現し、亀と鶴の懸魚彫刻も目を引きます。


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中庭を取り囲むように雁行した廊下を配し、各室の入口に小屋根を作り戸建て風の客室となっています。ところどころに様々な飾り窓があり、職人の技とこだわりを見ることができます。


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各階を評判の棟梁に分担させ腕を競わせた自慢の建物には、桧や黒檀・紫檀など高級な木材や形の変わった変木を随所に使い、伝統的な和風建築となっています。


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客室は床の間など全て違うデザインで、書院の欄間や障子の組子が繊細で、各部署の納まりも含め各職人の技術のレベルの高さに感激しました。


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二間続きの120畳もある大広間が3階にあり、毎晩行われていたと思われる宴会の雰囲気を人形が感じさせてくれます。


建物探訪 「静岡県富士山世界遺産センター」

2022 - 05/09 [Mon] - 17:15

5月の連休に伊豆方面に出かけた折に見学してきた建物を数回に分けて紹介します。

富士山世界遺産センターは浅間大社の南側、神田川の西川沿いに建つ建物で、富士山の自然、文化、歴史など情報の発信地となっています。

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逆富士型の展示棟をセンターにし北棟、西棟の3棟に分かれた部分を、ガラスカーテンウォールでつないでいます。


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エントランスには水盤を回り込んで入ることになります。
円錐状に広がりを持つ木格子がとても印象的です。ちなみにこの格子は8000ピースあり、すべてが形状が違い3次元でプレカットして組み上げています。


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3階まで吹き抜かれたエントランスホールから、螺旋状のスロープにより上部へと展示室に誘導され、富士山の登山道に見立てた映像をを見ながら5階まで登ります。(富士山登山を模擬体験)
2,3階途中にブリッジで西棟、北棟に繋がれた企画展示室などがあり、登山途中の休息場のような所ともなっています。


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エントランスホール奥にミュジアムショップ・カフェーコーナーがあります。


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3階の常設展示室には、富士山で生息している動植物を見ることができます。


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北棟3階の展望常設展示室からは吹抜けのエントランスホールが見渡せ、又、屋外展示で外にも出られるようになっています。
5階まで上がると展望ホールとなっていて、屋外テラスにも出入りが可能で晴れた日には富士山が目の前に見ることができます。


設計:㈱坂茂建築設計



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